法人成りのタイミングについて ②法人成りのメリット
前回は、法人成りのデメリットを中心に見てきました。
今回は、法人成りのメリットについてまとめていきます。
主なものは、下記の通りです。一つずつ説明していきますね。
法人成りのメリット一覧
①最高税率の違い
個人の場合、所得が大きくなると税率が上がっていきます。
法人の場合には、税率の幅は少なく、最高税率は約36%となります。
法人成りして、これから売り上げが伸びることが確実なら、税率の違いは税額にダイレクトに効いてきます。
②欠損金の繰越期間
個人の欠損金は3年間繰り越すことが出来ます。
一方で、法人の繰越期間は10年も繰り越すことが出来ます。
事業に浮き沈みは付き物です。
思いっ切った先行投資が必要となる場合には、法人の方が安心かもしれません。
③家族の給料
個人の場合、家族に給料を支払う場合には専従者給料として支払うことが出来ますが、一定の要件が必要です。
また、配偶者控除や扶養控除を受ける事が出来なくなります。
法人の場合、非常勤役員とすることで、社会保険の加入なく給与を支払うことも可能です。
④出張旅費日当
法人の場合、出張旅費日当の規定を整備する等により、日当を支払うことができます。
この出張旅費日当は、法人側では経費となり消費税額の控除も可能です。
受け取った個人も、この日当には社会保険料も税金も掛かりません。
出張が多い場合には非常に大きな節税対策となります。
⑤社宅家賃
個人の場合、自宅の家賃を経費にすることは出来ません。
しかし、法人の場合には、社宅として一定の範囲まで経費とすることが可能です。
⑥生命保険料
個人の場合、生命保険料を支払った場合、保険料のうち一定金額まで所得控除することが可能ですが、この控除金額が少額です。
法人の場合には、節税目的(税金の繰り延べ)の保険商品は少なくなったとはいえ、掛け捨ての保険であれば全額控除可能です。
⑦退職金
個人の場合、自分自身の退職金を経費とすることが出来ません。
法人の場合には、退職金を支払うことで一定範囲内で多額の損金を作ることが可能です。
受け取った個人も、退職金については税務上の優遇があります。
⑧信用力
取引先、従業員の募集、銀行など、いろいろな場面で信用力が影響してきます。
法人であるということ自体に一定の信用力があり、事業にプラスの影響を与えます。
「売上げが2,000万で利益が1,000万だから法人成りした方が良いのでしょうか?」という質問に対して、
上記法人のメリットのうち、たった2つの『対策』だけですが、取り入れて再度計算してみましょう
③家族の給料についての『対策』・・・これまで専従者給与が出せなかった家族に非常勤役員に就任してもらい年間100万円の給料を支払います。その分、社長の給料を100万円減らします。したがって、給料は750万円(前回検討時は850万円)となります。
⑤社宅家賃についての『対策』・・・これまで個人で負担していた家賃のうち、法人が社宅として年間40万円を負担します。
いかがですか?たった2つの少額の節税対策ですが、かなりの節税額になりましたよね。
しかし、前回お伝えした税金以外のデメリットを解消するほどの金額か?と言われると、意見が分かれるかもしれません。
何度も、ご自身の状況と照らし合わせながら、シミュレーションしていただけると良いかと思います。
全体の利益が小さいときは、社会保険料が大きな差の要因になります。
従って、ご自身の給料をどの程度に抑えるのかがポイントになってきます。
全体の利益が大きいときは、最高税率の差が大きな差の要因になってきます。
『対策』をしっかり取ることで、大きな節税が見込めます。
いずれの場合でも、ただ法人成りすれば節税になるということではないことは、ご理解いただけたかと思います。
上記法人のメリットを受けるためには、『対策』を行っていく必要がありますが、それぞれ細かい論点があります。
弊所では、上記検討を加えながら、法人の税務申告をご支援しておりますので、是非お声がけ下さい。
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2021年7月より川越にクラウド会計に特化した事務所を移設
川越から海を越えて海外にまで活躍していく企業をサポートしたいという思いから立ち上げました。
創業、融資、バックオフィス機能の最適化を支援します。
「経営革新等支援機関」として、補助金等のご相談も受け付けております。
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